画面上では同じグレーに見えるのに、印刷すると極端に暗く仕上がる。
特にオンデマンド印刷では、「K(黒)1色のグレー」と「グレースケール(Gray Gamma)」の扱いの違いによって、階調や明るさが大きく変わります。
その理由と正しい入稿方法を、デザイナーや印刷担当者向けに詳しく解説します。
K1色グレー、グレースケール(Gray Gamma2.2)との比較
K1色グレー

夜の撮影ということもあり、人物の輪郭がまったくわからない状態です。
この状態でデータ入稿されますと、仕上がりもこのように不鮮明となりますので注意が必要です。
グレースケール(Gray Gamma2.2)

同じ写真データをGray Gamma2.2で処理しただけの状態です。二人の人物が判別できるようになりました。
同じデータでも、これだけ印刷後の仕上がりが変わるため、重要な項目となります。
K1色グレーとグレースケールの違い
K1色グレー(CMYKのKチャンネル)
- カラースペース:CMYK
- 表現方法:黒インク(K)の濃度でグレーを表現
- 印刷時の扱い:RIP(出力機の演算処理)が「黒インク量」として解釈
- 特徴:暗く・コントラストが低くなりやすい
- 原因:印刷機でドットゲイン(インクのにじみ補正)が自動的にかかるため、実際より濃く再現される
グレースケール(Gray Gamma2.2など)
- カラースペース:Gray(輝度ベース)
- 表現方法:人間の目の明るさ感覚(ガンマカーブ)に基づいた階調補正
- 印刷時の扱い:より自然な明暗として変換される
- 特徴:明るさが安定し、階調や輪郭が滑らかに出る
なぜ画面では違いが見えないのか
ディスプレイはRGBで表示しているため、どちらの画像もほぼ同じように見えます。
しかし印刷機はCMYKインクで再現するため、Kのみのグレーは物理的なインク量で表現され、結果的に暗く出ます。
グレースケール画像は輝度ベースで処理されるため、印刷時の変換が滑らかで自然に見えるのです。
印刷時に起こる具体的な違い
| 比較項目 | Kグレー(CMYK) | グレースケール(Gray Gamma) |
|---|---|---|
| 印刷結果 | 暗く・濁り気味・輪郭が甘い | 明るく・階調が自然・シャープ |
| RIP処理 | 黒インク濃度ベース | 輝度変換ベース |
| 見た目の変化 | 画面上ではほぼ同じ | 印刷時に明確な差 |
実務でのチェック方法
Acrobat Proで確認
- メニュー →「ツール」→「印刷工程」→「出力プレビュー」
- 分版プレビューでC/M/Y/Kのどのチャンネルにデータがあるか確認→KのみならKグレー、なければグレースケールの可能性あり
Illustrator・Photoshopで確認
- Illustrator:画像を選択し「カラー」パネルを見る(RGBかCMYKか)
- Photoshop:イメージ → モード で確認(「グレースケール」ならOK)
正しい入稿方法(グレー画像の作り方)
Photoshopでの手順
- 元画像を開く
- 「イメージ → モード → グレースケール」を選択
- プロファイルはGray Gamma2.2を選ぶ
- 解像度300dpi以上を推奨
- PDF書き出し時は「高品質印刷」または「プレス品質」で保存
- カラープロファイルを埋め込む(ICCプロファイルの埋め込みにチェック)
入稿ガイドライン
グレー画像について
- グレーの写真・イラストはグレースケール(Gray Gamma 2.2)で作成するようにしてください。
- CMYKモードでKチャンネルのみ使用した画像は、印刷時に暗く仕上がる場合があります。
- 推奨設定:
- Photoshop:「モード → グレースケール」へ変換
- プロファイル:Gray Gamma2.2
- 解像度:300dpi以上
- カラープロファイルを埋め込む
まとめ
- K1色のグレー=インク濃度ベース、暗く・濁る
- グレースケール=輝度ベース、明るく自然な階調
- 画面では違いが見えにくくても、印刷結果は明確に異なる
- 入稿データは「Gray Gamma2.2」で統一すると、安定した出力が得られる
