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カラー印刷機がCMYKではなくKCMY順で印刷する理由

フルカラー印刷は一般的に「CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)」の4色で構成されます。
ところが実際の印刷機では、この順番でインキを重ねるわけではなく、「KCMY」 の順に印刷されることをご存じでしょうか。
その理由と印刷品質に深く関係する「インキのタック値(粘着力)」について解説します。

CMYKとは?

CMYKとは Cyan(シアン)・Magenta(マゼンタ)・Yellow(イエロー)・Black(キー・プレート) の略称です。
理論上はこの4色の組み合わせであらゆる色を再現できます。
デザインソフト上では「C→M→Y→K」と表記されますが、実際の印刷現場ではこの順番で刷られるわけではありません。

実際の印刷順は「K→C→M→Y」

印刷機では一般的に、ブラック → シアン → マゼンタ → イエローの順で印刷されます。
この順番には、色再現や印刷品質を安定させるための明確な理由があります。

なぜ最初にブラック(K)を印刷するのか

  1. 黒で輪郭やシャープさを出すため。
    黒は文字や細部の輪郭を引き締める役割を持ちます。最初に印刷することで、その上に他の色を重ねてもにじみにくく、くっきりとした仕上がりになります。
  2. 他の色との混ざりを防ぐため。
    黒を最後に刷ると、下の色に弾かれたり、インキが定着しにくくなったりします。最初に印刷することで、全体の安定した色再現が可能になります。

なぜイエロー(Y)が最後なのか

イエローは最も明るく透明度の高いインキです。
下にどんな色があっても濁りが少なく、全体の色味を整える「フィルター」のような役割を果たします。
そのため最後に印刷することで、自然で柔らかい色調になります。

インキの「タック値」と印刷順の関係

印刷インキには「タック(tack)」と呼ばれる粘着力(引っ張り強さ)の指標があります。
このタック値は、ローラーや紙にどれだけ吸着するかを示すもので、印刷順を決める重要な要素のひとつです。

  • タック値が高い:紙に強く引っ付く(濃い色、粘りがある)
  • タック値が低い:紙離れが良く、上から重ねやすい

印刷では、タック値の高いインキから低いインキへ順に刷るのが基本です。
そうしないと、後から印刷するインキが下の層を引っ張り、紙むけ(ピッキング)や色混ざりが発生するおそれがあります。

一般的なタック値の順(高→低)

このタック値のバランスから、印刷順はK→C→M→Yが理にかなっているのです。

特徴相対的なタック値
ブラック(K)濃度が高く輪郭を出す高い
シアン(C)深みを出すやや高い
マゼンタ(M)彩度を出す中程度
イエロー(Y)透明度が高く調整役低い

印刷順を誤るとどうなる?

印刷順を誤ると、以下のような問題が発生しますので、印刷現場では、紙質やインキの性質、乾燥条件を考慮し、時に最適な順番を選定して印刷することがあります。

  • 紙の表面がはがれる(ピッキング)
  • 色が濁る、にじむ
  • 版ズレが目立つ
  • 乾燥が遅くなる

最後に

  • 印刷機は理論順(CMYK)ではなく KCMY順 で印刷するのが基本。
  • 理由は「黒で輪郭を先に出すため」および「タック値の高い順に重ねるため」。
  • 最後にイエローを重ねることで、全体の色味を自然に整える。

印刷順は単なる技術的手順ではなく、色再現・用紙適性・仕上がりの美しさを左右する重要な要素です。
印刷品質を理解する上で、KCMYの順序とインキのタック値の関係を知っておくことは非常に有益です。