手書き原稿の入稿について

デジタル化が進む現代でも、手書きの紙原稿での入稿は多くの出版社や印刷会社で受け付けられています。しかし、紙原稿には特有の注意点があり、これらを理解せずに提出すると、思わぬトラブルや追加費用が発生する可能性があります。
手書き原稿入稿の前準備
原稿用紙の選択
紙原稿入稿では、原稿用紙の選択が最初の重要なポイントです。一般的に推奨されるのは以下の仕様です。
テキストを見ながら入力する必要がある場合、小さな用紙では入力者が判別しづらいため、しっかりはっきりと記入するようにしてください。
項目 | 注意点 |
---|---|
用紙サイズ | A4またはB4サイズの原稿用紙を使用する |
罫線 | 400字詰め(20字×20行)が標準の罫線を利用する |
用紙品質 | 上質紙または中質紙を用い、コピー用紙は避ける |
色 | 白色または薄いクリーム色の用紙を選択する |
筆記具の選択
原稿の読みやすさと印刷品質に直結する筆記具選びも重要です。基本的に濃くはっきりと記入してください。
推奨する筆記具
- 黒色のボールペン(0.7mm〜1.0mm)
- 濃い鉛筆(B〜2B)
- 黒色の万年筆
避けるべき筆記具
- 薄い鉛筆(H系)
- 青色や赤色のペン
- 消えるボールペン
- 水性ペン(にじみやすいため)
文字の書き方に関する注意点
文字の大きさと濃さ
紙原稿をスキャンして電子化する際、文字の大きさと濃さが読み取り精度に大きく影響します。
項目 | 注意点 |
---|---|
文字サイズ | 原稿用紙のマス目に対して70〜80%程度の大きさ |
文字の濃さ | はっきりと読み取れる濃さで統一 |
文字間隔 | 適度な間隔を保ち、文字同士が重ならないよう注意 |
読みやすい文字を心がける
手書き文字の場合、読み間違いを防ぐための配慮が必要です。
項目 | 注意点 |
---|---|
楷書体 | 崩し字は避け、丁寧な楷書体で記述 |
似た文字 | 「る」と「ろ」、「シ」と「ツ」など紛らわしい文字は特に丁寧に |
数字 | 「1」と「l」、「0」と「O」の区別を明確に |
レイアウトと体裁の注意点
余白とマージンの設定
手書き原稿では、印刷時の仕上がりを考慮した余白設定が重要になります。
項目 | 注意点 |
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余白 | 上下左右すべてにおいて、最低2cm以上の余白を確保する |
ページ番号 | 右上または下中央にページ番号を明記し、全ページに統一して記載 |
章題・見出し | 章や段落の開始位置に適切に配置し、本文と明確に区別 |
ページ構成の統一
全ページを通じて一貫したレイアウトを保つことが、美しい冊子作りの基本となります。
項目 | 注意点 |
---|---|
1ページの文字数 | ページごとに文字数にばらつきが出ないよう、全ページで統一された設定を使用 |
行間 | 読みやすさを保つため、一定の間隔で行間を設定し、全体で統一する |
段落 | 段落の最初はインデント(字下げ)を統一し、全ページで一貫性を保つ |
訂正・修正の正しい方法
訂正記号の使用
手書き原稿では、訂正記号を正しく使用することが重要です。基本的な訂正方法ですが、参考にしてください。
項目 | 注意点 |
---|---|
削除箇所 | 該当箇所に二重線を引き、欄外に削除記号「トル」を記入する |
挿入箇所 | 挿入箇所に「∨」マークを付け、追記内容は上部または欄外に明記する |
置換箇所 | 削除(トル)と挿入(∨)を組み合わせて、正しく書き換える |
大幅な修正の場合
大きな修正が必要な場合は、該当ページを書き直すことを推奨します。
項目 | 注意点 |
---|---|
ページ番号(枝番) | 「○ページの2」などの形式で枝番を付け、ページの差し替えや追加が明確になるように |
差し替え指示 | 新しいページには「差し替え用」など、明確に差し替え対象であることを記載 |
元ページ | 差し替えが発生する場合、元のページにも「差し替えあり」と記載して整合性を確保する |
提出前のチェックポイント
原稿の完成度確認
提出前には以下の項目を必ずチェックするようにしてください。
- ページ番号が正しく連続しているか
- 文字の読みやすさ
- 訂正箇所の明確性
- 汚れや破損の有無
バックアップの重要性
紙原稿は唯一無二の存在です。提出前に必ずコピーを取っておいてください。
項目 | 注意点 |
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コピー方法 | 文字の鮮明さを保つため、高品質なコピー機を使用する |
保管 | 湿気・直射日光を避け、風通しの良い場所に保管する |
デジタル化 | 可能な限りスキャンしてPDFなどでデジタルバックアップを作成しておく |
提出方法と梱包の注意点
適切な梱包方法
紙原稿を安全に届けるために梱包は非常に重要です。原稿が傷んだり破損しないよう注意してください。
項目 | 注意点 |
---|---|
クリアファイル | 書類全ページをクリアファイルに収納し、汚れや折れを防止 |
段ボール | 送付時は厚手の段ボールで挟み、折れや曲がりを防ぐ |
封筒 | 封筒は中身にゆとりのある十分な大きさのものを使用 |
「折り曲げ厳禁」 | 封筒や梱包材に「折り曲げ厳禁」と明確に表示する |
送付時の注意事項
郵送時も注意が必要です。ご配送や不着にならないように対策してください。
項目 | 注意点 |
---|---|
配達記録 | 重要書類の紛失防止のため、書留や特定記録郵便を利用する |
送付状 | 内容物の詳細と連絡先を明記した送付状を必ず同封する |
期日 | 提出期限に間に合うよう、余裕を持ったスケジュールで発送する |
よくあるトラブルと対策
文字化けや読み取りエラー
手書き文字特有の問題と対策をご紹介します。せっかく送った原稿が使用できないことを防ぐためにも注意が必要です。
項目 | 注意点 |
---|---|
薄い文字 | 視認性を確保するため、濃い筆記具(黒インクや濃い鉛筆など)に変更して記入する |
崩れた文字 | 読みづらい場合は、丁寧な楷書体で書き直す |
汚れや破損 | 書類に汚れや破れがある場合は、該当ページを新たに書き直す |
体裁の不統一
ページごとの体裁が異なる場合の対処法です。
項目 | 注意点 |
---|---|
レイアウト確認 | 全ページのレイアウトを統一し、見た目の整合性を保つ |
文字数調整 | 1ページあたりの文字数を揃えて読みやすくする |
余白統一 | 全ページで同じ余白設定を適用し、均一感を持たせる |
こちらはラインナップ外商品となります。
手書き原稿をそのまま印刷に使用する、手書き原稿を当社で文字入力するなど、いずれもラインナップ外商品となりますので、ご希望のお客様はお問い合わせフォームからご相談ください。
紙原稿をそのまま印刷する
紙原稿をそのまま印刷に使う場合、「スキャン精度」「用紙の状態」「原稿サイズ」などが仕上がりを大きく左右します。
チェック項目を参考にしながら、原稿を準備してください。
チェック項目 | 内容 | 理由・目的 |
---|---|---|
原稿サイズの確認 | A4やB5など、印刷希望サイズに合わせて原稿を作成 | 拡大縮小すると画質劣化の原因に |
余白の確保 | 四辺に5mm以上の余白を確保 | 断裁時のズレを防止 |
折れ・汚れ・にじみなし | 原稿にシワ・汚れ・裏写りがないよう注意 | そのまま印刷に反映されるため |
文字の可読性 | 小さすぎず、はっきりとした文字で記載 | 読みづらいと印刷時につぶれる可能性 |
ページ順の明示 | 各ページに通し番号を手書きでOK | 印刷会社でのページ順間違い防止 |
紙原稿ダイレクト印刷とは
印刷用のデジタルデータではなく、手書きやアナログで作成された紙の原稿を、当社で入力や修正などはおこなわずにそのまま印刷することです。
スキャン環境がない場合や、紙でしか残っていない資料、データ不備(文字化け)などが絶対に許されない冊子印刷物に利用されます。
紙原稿をそのまま利用する冊子例
印刷物の種類 | 紙原稿が適している理由 |
---|---|
自費出版(詩集・エッセイ集) | 手書き文字の温もりをそのまま冊子に反映できる |
地域の広報・回覧板 | 手描きのお知らせをそのまま印刷可能。高齢者層にも配慮 |
学校・保育園の通信 | 教師・保育士の手書き文書を活かせる |
同人誌(イラスト・漫画) | アナログ原稿のスキャン→印刷で手間を省ける |
問題集・テスト問題 | 文字化けも起きず、データ流出懸念がなくなる |
紙原稿を入稿するメリットとデメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
準備の手軽さ | PC操作が不要。手書きで完成すればOK | スキャン・調整の作業が印刷会社側で必要 |
手書きの温かみ | 筆致や個性をそのまま伝えられる | 誤字や汚れがあってもそのまま印刷される可能性 |
費用面 | データ作成費用が不要 | スキャニング料金が発生する |
修正のしやすさ | 紙上で手書きの加筆修正が簡単 | 全体修正や再構成が難しい |
画質・再現性 | スキャン時の工夫である程度の品質は確保できる | 文字のつぶれ・にじみなど品質リスクがある |
スキャンしてデータ入稿する
高精細スキャナーをお持ちの場合は、ご自身でスキャンをおこなうこともできます。
その場合は紙原稿を300~600dpiでスキャンし、PDFで入稿してください。
撮り直しができるためにも、一気に全ページをスキャンせず、写真や文字部分のスキャンデータを一部確認として送っていただき、印刷をおこなう上で問題がないかを確認後、残りの作業を進めてください。
「文字がにじまないか」「斜めになっていないか」などにも注意してスキャニングをおこなってください。
紙原稿作成の注意点
プリントアウトした原稿の誤字・脱字・汚れ・歪みは、そのまま印刷に反映されます。必ず校正済みの原稿を、汚れや折れのない清潔な状態でご入稿ください。各ページのプリント位置は、用紙に対して上下左右すべて統一することが重要です。ページごとに配置がズレていると、印刷・断裁後も同様にズレが生じ、仕上がり品質が低下します。
グレー色を使用している場合は、2階調化処理(白黒変換)を行った状態でプリントアウトしてください。
製版工程では白と黒のみを読み取るため、濃いグレーは黒く潰れ、薄いグレーは白く消失する恐れがあります。
こちらはラインナップ外商品となります。
手書き原稿をそのまま印刷に使用する、手書き原稿を当社で文字入力するなど、いずれもラインナップ外商品となりますので、ご希望のお客様はお問い合わせフォームからご相談ください。
原稿送付先
〒537-0014
大阪市東成区大今里西1-24-16
立葉印刷株式会社
TEL:06-6224-7114
お客様の手書き原稿を当社でデータ化させていただく場合は、別途データ入力・編集費用が必要となります。
原稿は宅配便などでご送付ください。