データ作成について

冊子印刷を作成するにあたって、データの入稿方法、入稿時のPDFデータへの変換形式、画像や写真の解像度など、冊子印刷作成の際に失敗のないよう、印刷データの基本について順を追って記載しております。
文字での説明はどうしても分かりづらいこともありますので、その際はご遠慮なくお電話、メールでお問い合わせ下さい。
入稿データ作成時の注意事項
データ入稿は高品質かつスピーディーな印刷製本が可能な反面、品質・納期を確保するために、以下の点にご注意ください。
網点・グラフ・写真について
- 網点は10%以上を推奨。
- ExcelやCADで作成した表・極細罫線・細明朝体は、印刷で正確に再現されない可能性があります。
- 0.3ポイント以下の罫線は避けてください(かすれ・途切れが発生することがあります)
表示の誤差について
- 画面やプリンターで「見えている」からといって、印刷でもその通り出るとは限りません。
- 特に薄い網点・細い線は印刷で消えることもあります。
出力見本と印刷の違い
- ご家庭やオフィスのプリンターでは自動補正が入るため、「ちゃんと出ている」と思っても、本印刷では補正がかからず、見えなくなる場合があります。
- 当社製版機は自動補正はおこないません。データ通り忠実に出力されます。
- そのため、データの作り込みが非常に重要です。
仕上がりサイズの決定
当社ラインナップにある冊子仕上がりサイズは以下のとおりです。
仕上がりサイズは、データの完成サイズと一致している必要があります。
データはページごとに1枚ずつ(ページ順に)用意してください。1-2,3-4などの見開きではなく、1,2,3,4のように単ページで作成をお願いいたします。
塗り足しなしのA4冊子を作るなら、210mm×297mmで作成します。
仕上がりサイズ | サイズ(mm) | 塗り足し込みデータサイズ(mm) |
---|---|---|
A4 | 210 × 297 | 216 × 303 |
B5 | 182 × 257 | 188 × 263 |
A5 | 148 × 210 | 154 × 216 |
B6 | 128 × 182 | 134 × 188 |
4/6判 | 128 × 188 | 134 × 194 |
塗り足しの追加
仕上がりサイズよりも外側にはみ出してデザインや背景を広げておく処理を「塗り足し」といいます。通常、上下左右に3mmずつ付けます。仕上がりサイズギリギリに写真や文字などがかかっているデザインの場合、断裁機のわずかな断裁位置ズレにより、絵柄や文字が断ち切れてしまうことがあります。フチ無しデザイン(紙端まで目一杯デザインがあるもの)を仕上がりサイズと同じサイズで作成されますと、断裁時のわずかなズレにより、周囲に白地が残ってしまうことがあります。このような事故を防止するため、ベタ・塗り足しがある場合は、仕上がりサイズよりも少し大きい用紙サイズ(仕上がり位置から3mm以上の塗り足し)を確保して作成するようにしてください。

塗り足し込み作成サイズ確認
サイズを選択、または任意サイズを入力すると、自動で塗り足し分を追加した作成サイズが表示されます。
イラストにある青枠線が実際の仕上がりサイズラインです。フチ無し印刷されたい場合は、赤枠線までデータを作成する必要があります。フチ無し印刷がない場合は、文字切れや画像切れを起こさないために、緑枠線のセーフエリア内に余裕を持って収まるよう作成してください。テンプレートも利用可能です。
カラーモードの設定<重要>
モノクロ冊子印刷
文字、イラスト、写真や画像全てをK(黒)のみで作成するようにしてください。見た目は黒に見えていても、実際にはCMYが混ざっていることがあります。そのままのデータで印刷を進めると、極端に黒が薄くなってしまったり不具合が生じる可能性があります。
画像では見た目は黒1色に見えるデータでも、実際にはCMYが100%、肝心のKは25%で作成されています。
このようなデータでモノクロ印刷をおこなうと、画面での見た目とは全く異なる仕上がりになる可能性がありますので、必ずKのみで作成するようにしてください。
カラー冊子印刷
カラーモードは「CMYK」でデータを作成してください。
ただし、Excel・WordなどのMicrosoft Officeのソフトでは、RGBデータしか作成することができません。
その場合はカラーモード「RGB」でご入稿ください。※自動でCMYKに変換しますので、色目は変わります。
カラー/モノクロ混在冊子印刷
モノクロページは、トンボも含めて全てK(黒)のみ、カラーページはCMYKで作成してください。
ただし、Excel・WordなどのMicrosoft Officeのソフトでは、RGBデータしか作成することができません。
その場合はカラーモード「RGB」でご入稿ください。※自動でCMYKに変換しますので、色目は変わります。
RGBとCMYKについて
どちらも色を表現する方法ですが、それぞれ原理や用途が異なります。
RGB<光の三原色による表現方式>
RGBとは、Red(赤)・Green(緑)・Blue(青)の頭文字を取ったもので、光を使って色を表現する「加法混色」の方式です。これら3つの光を重ねることで、白に近づいていきます。
RGBのまま印刷すると、色がくすむ・暗くなるなどのトラブルに繋がるため、CMYKでデータ作成されることを推奨しています。
RGBが使われる場面
- Webサイトの画像
- パソコンディスプレイ
- テレビディスプレイ
- スマートフォンディスプレイ
RGBの特徴
- 発光によって色を表現するため、鮮やかで明るい色が再現可能
- 表現できる色の範囲(色域)が広い
- 印刷には適していない
CMYK<印刷に使われるインクの4色>
CMYKは、Cyan(シアン)・Magenta(マゼンタ)・Yellow(イエロー)・Key plate(ブラック)の頭文字で、インクを重ねて色を表現する「減法混色」の方式です。インクを重ねることで光を吸収し、黒に近づいていきます。
CMYKが使われる場面
- 冊子・パンフレット
- チラシ・ポスター
- 名刺・カタログ
CMYKの特徴
- 印刷向けの標準的なカラーモード
- RGBより色域が狭く、ややくすんだ色になりやすい
- RGBで作られた画像をそのまま印刷すると、色味が大きく変わることがある
印刷内容 | データ種別 | 内容 |
---|---|---|
モノクロ冊子印刷 | 入稿可能データ(◯) | K(黒) |
入稿不可データ(×) | CMYK掛け合わせの黒 | |
カラー冊子印刷 | 入稿可能データ(◯) | CMYK |
非推奨データ(△) | RGB | |
モノクロ/カラー混在冊子印刷 | 入稿可能データ(◯) | モノクロはK(黒)、カラーはCMYK |
非推奨データ(△) | RGB |
カラーモード設定についてのご注意
冊子の印刷色に応じて、適切なカラーモードでデータを作成してください。
正しく設定されていない場合、仕上がりの色味がイメージと異なる可能性があります。特に、モノクロとカラーが混在する冊子を作成する際にはご注意ください。モノクロで印刷するページに、カラーデータが含まれていると、たとえ見た目が白黒でも、カラー印刷としてカウントされ、料金が加算されてしまいます。
意図しない追加費用やトラブルを防ぐためにも、各ページのカラーモードを事前にご確認のうえ、正しい設定でご入稿いただきますようお願いいたします。
解像度の設定方法
Adobe Photoshop<新規作成時>
- 「ファイル」→「新規」
- 解像度欄に希望のdpi値を入力
- 300-350dpi(印刷用)を設定
Adobe Illustrator
- 「ファイル」→「新規」
- 詳細オプションで「ラスター効果」の解像度を設定
- 300-350dpiを選択
スキャナーでの設定
- スキャナーソフトを起動
- 解像度設定で300-600dpiを選択
デジタルカメラの設定
- カメラの設定メニューで「画質」または「画像サイズ」を選択
- 最高画質(RAW+JPEG)または高解像度を選択
- 後から用途に応じて解像度を調整
解像度 | 用途の目安 | 推奨度 |
---|---|---|
600-1200dpi | 商業印刷(モノクロ文字) | ◎(推奨) |
300-350dpi | 商業印刷(カラー) | ◎(推奨) |
150-300dpi | 家庭用印刷 | ○(場合により可) |
PDF保存方法
Microsoft WordやExcelで冊子データを作成された場合、そのままでは商業印刷には適しておらず、印刷機で使用することはできません。必ず事前に印刷用としてデータ変換を行い、PDF形式に変換してください。
Windowsの場合
IllustratorでのPDF/X-1a保存手順(Windows)
- ファイル > 別名で保存 を選択
- 「ファイルの種類」で Adobe PDF(*.PDF) を選び、保存
- 「Adobe PDFプリセット」で [PDF/X-1a:2001] を選択
- 必要に応じて以下も確認
- 「トンボと裁ち落とし」>塗り足し3mmを設定
- 「フォント」>すべて埋め込まれているか確認
- PDFを保存 をクリック
Macの場合
IllustratorでのPDF/X-1a保存手順(Mac)
- ファイル > 別名で保存
- フォーマットで「Adobe PDF(.pdf)」を選び、保存
- 「Adobe PDFプリセット」で [PDF/X-1a:2001] を選択
- 「トンボと裁ち落とし」タブで3mm塗り足し設定
- 保存で完了
PDF/X-1aにする理由
- 文字化けを防ぐ(フォント埋め込み)
- 印刷時の色ズレ・再現性の安定化
- 業務用印刷機に対応した安全な形式
PDFのフォント埋め込み確認方法

作成したPDFデータが完全な状態かどうかは、Adobe Acrobat Reader(無料)を使用してご確認いただけます。
- PDFをAcrobat Readerで開きます。
- メニューから「ファイル」→「プロパティ」を選択します。
- 表示されたウィンドウ内の「フォント」タブをクリックしてください。
このとき、使用フォント名の横に「(埋め込みサブセット)」と表示されていれば、フォント情報が正しく埋め込まれた完全PDFであることを示しています。一方で、「埋め込みサブセット」と表示されていない場合は、フォント情報がPDF内に残っており、文字化けやフォントの置き換えが発生する可能性がありますのでご注意ください。
ご入稿前には、Adobe Acrobat Reader(無料)で、作成したPDFに不備がないかをご確認いただくことをおすすめいたします。
※インストールの際は、Adobe社の定める利用条件をよくご確認のうえ、お客様ご自身の判断でご利用ください。
必ずPDF書き出し後にPDFデータを開き、フォント情報が残っていないか、文字化けやズレなどがないか、全体をしっかりとご確認ください。
トンボについて
ご入稿いただくデータには必ず「トンボ」を付けた状態で入稿してください。
上下左右に寄ったままのデータでご入稿されると、印刷時にセンターに配置されず、本になった時にバランスがおかしくなったり、文字や画像が切れてしまう原因となります。
台紙の外側のコーナーと中央センターに付けられている二本重ねた線を「トンボ」といいます。正しい位置に印刷する上で必須となります。
※トンボがないデータの場合、台紙の真ん中にきちんと作成されていれば冊子になった際にずれることはありませんが、目視確認できないため、リスクは生じます。

ファイル名にはページ番号を
本文ページデータは、必ずファイル名の先頭に「0(ゼロ)」を付けて桁数を統一し、ページ順に並ぶように名前を付けてください。
- 総ページ数が2桁の場合: 例)01、02、03、…09、10、11、…20、…50
- 総ページ数が3桁の場合: 例)001、002、003、…009、010、011、…050、…100、101
このように「01〜」「001〜」といった形式で保存していただくことで、ファイルが綺麗に順番通り並び、誤って異なるページを面付けしてしまう事故を防ぐことができます。

色扉・折込は台割表で位置指定<重要>
色扉や折込をご希望の場合は、「◯ページの次に挿入する」といった明確な指示が必要です。
自動見積もりにて色扉や折込を選択された場合は、ご注文データを入稿する際に、当社指定の台割表も必要となります。
挿入箇所の指示を台割表に正確にご記載ください。誤認や配置ミスを防ぐため、データ名には「◯ページの次の扉」「◯ページの次の折込」など、一目で内容と位置が分かるように記載をお願いいたします。
白ページでもデータは必要
印刷のない白紙ページが含まれる場合、当社ではどのページが白紙であるかを判断することができません。
そのため、必ずデータ内に白紙ページも含めた状態でご入稿ください。
「どのページの表面または裏面が白(印刷なし)になるのか」が正確に把握できるよう、データを作成してください。

綴じ方別のフォルダの分け方と体裁見本
無線綴じの場合
無線綴じをご希望の場合は、本文のデータと表紙のデータは分けて作成ください。
新規でフォルダを作成し、そのフォルダの中に新たに「表紙フォルダ」と「本文フォルダ」を作成いただき、それぞれに該当データを格納ください。
色扉などが入る場合は、別途台割表もお付けください。
体裁見本はこちらからダウンロードいただけますので参考にしてください。

中綴じ・平綴じの場合
中綴じ、平綴じの場合は、背文字が必要なくなりますので、表紙と本文とが全てセットになった状態で入稿ください。
新規でフォルダを作成し、そのフォルダの中に新たに「表紙と本文」が繋がった状態で格納ください。
体裁見本はこちらからダウンロードいただけますので参考にしてください。

Word・Excelのデータで入稿
「専門的なことは分からない」「どうすればいいの?」とお困りのお客様は、ご用意いただいたWord・Excelデータをそのままご入稿いただくことも可能です。有料サービスとなりますが、当社で完全データへ変換いたします。
※当社で変換したPDFデータでも、文字化けや体裁の確認は必ずお客様ご自身で行っていただいております。有料変換サービスをご利用いただく場合、使用されているフォントによっては埋め込み処理ができない可能性があります。パソコンに最初からインストールされているフォントのみで文章を作成されることを推奨いたしますが、異なるフォントをご使用される場合は、使用フォントファイルを当社へお送りいただく必要がございます。
(フォントによっては完全PDFデータへ変換できない場合もございます。あらかじめご了承ください。)