適正紙目でキレイに印刷

美しい冊子を作るうえで非常に重要なことが紙目です。
紙目とは、紙の繊維が並んでいる方向のことで、この方向性を正しく理解し活用することで、印刷物の品質と耐久性を大幅に向上させることができます。
A4仕上がりの冊子であれば「横目」、B5仕上がりの冊子であれば「縦目」のように、適正な紙目を常に選択してあげることで、より良い冊子が完成します。
紙目とは何か?
横目とは

用紙の短辺に平行に繊維が流れている用紙のことを言います。当社ラインナップにもある「レザック」や「マーメイド」など、表紙に利用される用紙は横目のみの製造が多く、A5・B5仕上がりの冊子に横目のみ製造されている用紙を選択すると、冊子が出来上がった時に表紙の紙目が逆を向いてしまいます。
縦目とは

用紙の長辺に平行に繊維が流れている用紙のことを言います。代表的な用紙では上質紙、再生紙、書籍用紙や色上質紙と様々です。
横目のみの用紙とは違い、A4・B6仕上がりの冊子では、冊子が出来上がった時に表紙の紙目が逆を向いてしまいます。ただし本文に使用する用紙は縦横製造されているケースが多いため、あまり気にする必要はありません。
紙目の確認方法
紙目が縦目なのか、横目なのかを簡単に確認する方法がいくつかあります。手元にある不要な用紙を使って確認することができます。
- 折り曲げてみる:紙を縦横それぞれに折り曲げてみると、紙目方向の方がきれいに折れます。
- 破ってみる:紙を少し裂いてみると、紙目方向にはまっすぐ破れ、逆目方向ではギザギザに破れます。
冊子印刷における紙目の重要性
製本品質への影響
冊子製本において、紙目の方向は仕上がりの品質を大きく左右し、適した紙目と適さない紙目とでは、仕上がり品質に大きな差が生じます。
正しい紙目の選択
- 無線綴じでは、背中の角が綺麗に。
- ページがきれいに開き、自然に閉じます。
- 折り加工時のひび割れや破れを軽減。
- 湿度変化による変形、波打ちやカールを抑制。
- 繰り返し使用による疲労を軽減。
- 保存性の向上
間違った紙目の選択
- 冊子が開きにくく、無理に開くと背中に皺が入り、本文が抜け落ちる。
- 折り目が不自然で、綺麗に閉じない。
- 長期使用により劣化が早まる。
- 冊子が変に波打ったり、変形してしまう。
よくある問題と対策
冊子が開きにくい
作りたい冊子サイズに適した紙目を選択することで改善されます。ご注文前に紙目を合わせて作成してくれるのかを確認することをおすすめします。
折り目にひび割れが発生
紙目が合っていない、使用用紙が厚すぎるなどが考えられますので、紙目を合わせて、用紙の厚みも薄手のものを選択することで改善されます。
背中にシワが入る
表紙は特に厚手の用紙を使用することが多いため、紙目の選択が非常に重要です。
表紙に使用する特殊紙は高額で、なおかつ紙目が横目しかないものがありますので、逆目を使用して作成する印刷会社が多く、注意が必要です。
波打ち、本が反っている
紙目が合っていないことが原因で起こる冊子の反り、用紙が薄すぎることで波打ちが起こることもあります。
本文用紙を少し厚くする、オンデマンド印刷のように、高温処理する機械での印刷は避けることで改善されます。
用紙規格の種類
用紙には様々な規格サイズがあり、一般的な印刷会社が取り扱う用紙規格は以下の3種類となります。他にもB判、ハトロン判などございますが、当社では滅多に使用しておりません。冊子印刷ラインナップにあるA4,A5サイズはA本判全紙を使用します。B5,B6,4/6判サイズ(128㎜×188㎜)は4/6判全紙を使用します。
以下の全紙から仕上がりサイズに応じて紙目を選択し、冊子を作成します。
名称 | サイズ (mm) |
冊子仕上がりサイズ |
---|---|---|
A判 エーバン |
625×880 | A4、A5 |
菊判 キクバン |
636×939 | A4、A5(塗り足し・厚冊子向け) |
4/6判 シロクバン |
788×1091 | B5、B6、4/6判 |
冊子印刷における紙目の重要性
読者の使用感、印刷物の品質、そして長期的な耐久性すべてに関わる基本的かつ重要な要素です。
残念なことに、紙目を選択できる印刷通販会社は無いと言っても過言ではありません。
その理由は、仕入れ費用や作業効率の問題など、印刷会社都合ばかりです。
適切な紙目の選択により、より高品質で長持ちする冊子を作成することができます。
品質の高い冊子印刷を実現するためには、紙目への理解と配慮が不可欠です。