印刷データを入稿した際に「データにエラーがあります」と連絡が来て困った経験はありませんか?印刷会社からのエラー連絡は、初心者の方にとって非常に不安なものです。しかし、印刷データのエラーには決まったパターンがあり、事前に知っておけば簡単に回避できるものがほとんどです。この記事では、印刷データでよく発生するエラーとその修正方法を詳しく解説します。
最も多い印刷データエラーTOP5
1. 解像度不足エラー
エラー内容→「画像の解像度が不足しています」
印刷に必要な解像度は300dpi以上ですが、Web用の画像(72dpi)をそのまま使用すると解像度不足エラーが発生します。
症状
- 印刷すると画像がぼやける
- ギザギザした仕上がりになる
- 文字が読みにくくなる
修正方法
- 元の高解像度画像を用意し直す
- 画像編集ソフトで300dpi以上に設定し直す
- スマートフォンで撮影した写真は基本的に高解像度なので、圧縮せずに使用する
- Web上の画像は避け、素材サイトから高解像度版をダウンロードする
予防策: 最初からカメラの設定を高画質にしておく、画像保存時に圧縮率を下げる設定にしておくことが重要です。
2. フォント埋め込みエラー
エラー内容→「フォントが埋め込まれていません」
使用したフォントがPDFに正しく埋め込まれていない場合に発生するエラーです。
症状
- 文字が別のフォントに置き換わる
- 文字化けが発生する
- レイアウトが崩れる
修正方法
- PDF作成時にフォント埋め込み設定をオンにする
- Word・PowerPointの場合:「ファイル」→「エクスポート」→「PDF作成」→「オプション」でフォント埋め込みを有効にする
- 特殊なフォントは使用を避け、一般的なフォント(游ゴシック、メイリオなど)を使用する
予防策: 印刷会社が推奨するフォント一覧を確認し、対応フォントのみを使用することをおすすめします。
3. カラーモード設定エラー
エラー内容→「RGBカラーで作成されています」
印刷にはCMYKカラーが必要ですが、RGBカラーで作成されたデータは色味が変わってしまいます。
症状
- 画面で見た色と印刷結果の色が大きく異なる
- 特に鮮やかな青や緑が暗くくすんで見える
- 企業カラーが正しく再現されない
修正方法
- 画像編集ソフトでRGBからCMYKに変換する
- Word・PowerPointの場合は印刷会社にRGB→CMYK変換を依頼する
- 重要な色がある場合は、事前にCMYK値を確認しておく
予防策: 最初からCMYKモードで作業を開始する、または印刷会社にカラー変換サービスがあるか確認しておきましょう。
4. トンボ・塗り足し不足エラー
エラー内容→「塗り足しが不足しています」
断裁時の微妙なズレを考慮して、仕上がりサイズより3mm程度大きく作成する必要があります。
症状
- 端に白い線が出る
- 背景色が途切れる
- 意図しない余白ができる
修正方法
- 仕上がりサイズ+天地左右各3mmで作成し直す(A4なら216×303mm)
- 背景や写真を端まで伸ばして配置する
- 重要な文字や図形は端から5mm以上内側に配置する
予防策: データ作成前に印刷会社のテンプレートをダウンロードして使用することをおすすめします。
5. ファイル形式エラー
エラー内容→「対応していないファイル形式です」
印刷会社が対応していないファイル形式で入稿した場合のエラーです。
症状
- ファイルが開けない
- 正しく表示されない
- 文字化けが発生する
修正方法
- PDF形式で保存し直す
- 印刷会社指定の形式に変換する
- 古いバージョンのソフトで保存し直す
予防策: 入稿前に印刷会社の対応ファイル形式一覧を確認し、推奨形式で作成しましょう。
ソフト別によくあるエラーと対策
Microsoft Word
よくあるエラー
- ページ設定が印刷サイズと異なる
- 画像の圧縮設定でデータが劣化
- フォントの自動置換機能による文字化け
対策
- 最初にページ設定で正確なサイズを指定
- 「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」で画像圧縮をオフに
- PDF保存時は必ずフォント埋め込みを確認
Microsoft PowerPoint
よくあるエラー
- スライドサイズが標準サイズのまま
- アニメーション効果が残っている
- 透明効果が正しく印刷されない
対策
- 「デザイン」→「スライドのサイズ」で印刷サイズに変更
- アニメーション効果はすべて削除
- 透明効果は使用を避けるか、画像として貼り付ける
Adobe Illustrator・Photoshop
よくあるエラー
- リンク画像が見つからない
- アートボードサイズの設定ミス
- 特色(スポットカラー)の使用
対策
- 画像は埋め込みで保存
- アートボードは仕上がりサイズ+塗り足しで設定
- プロセスカラー(CMYK)のみを使用
エラーを防ぐための事前チェックリスト
データ作成前の確認事項
□ 印刷会社の入稿規定を確認済み □ 仕上がりサイズと塗り足しサイズを把握 □ 使用可能なファイル形式を確認
□ フォントの制限事項を確認
データ作成中の注意点
□ 解像度は300dpi以上を維持 □ カラーモードはCMYKに設定 □ 重要な要素は端から5mm以上内側に配置
□ 使用フォントは埋め込み可能なもののみ
入稿前の最終チェック
□ PDFで保存してプレビュー確認 □ フォントがすべて埋め込まれているか確認 □ 画像の解像度と品質を再確認
□ ファイルサイズが適切な範囲内か確認
エラーが発生した時の対処法
1. 冷静に内容を確認
印刷会社からのエラー連絡は、具体的な修正箇所が記載されています。まずは内容をしっかりと読み、どの部分にエラーがあるのかを把握しましょう。
2. 修正箇所を特定
エラーの種類に応じて、該当する画像やテキスト、設定箇所を特定します。複数のエラーがある場合は、リストアップして一つずつ対応していきます。
3. 修正方法を実行
この記事で紹介した修正方法を参考に、適切な対処を行います。不明な点がある場合は、印刷会社に具体的な修正方法を問い合わせることも可能です。
4. 再チェックして再入稿
修正後は必ず全体をチェックし直し、他の部分に影響が出ていないかを確認してから再入稿します。
印刷会社とのやり取りのコツ
分からない時は遠慮なく質問
印刷データのエラーについて分からないことがあれば、印刷会社に遠慮なく質問しましょう。多くの印刷会社では、データ修正のサポートを行っています。
修正内容を確認してもらう
重要な印刷物の場合は、修正後のデータを印刷会社に事前確認してもらうことをおすすめします。再度エラーが発生するリスクを避けることができます。
余裕を持ったスケジュール
エラー修正には時間がかかる場合があります。納期に余裕を持ったスケジュールで進めることで、慌てることなく適切な修正が可能です。
まとめ
印刷データのエラーは誰でも経験するものですが、基本的なポイントを押さえておけば十分に回避可能です。
重要なポイント
- 解像度は300dpi以上を維持
- フォントは必ず埋め込みを確認
- カラーモードはCMYKに設定
- 塗り足しを含めたサイズで作成
- 事前チェックリストを活用
初めての印刷データ作成では戸惑うことも多いですが、この記事を参考にしていただければ、エラーを最小限に抑えることができると思います。
モノクロドットコムでは精一杯サポートさせていただきます。困った時はお気軽にご相談ください。
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