印刷用紙は、目的や内容によって適切な紙を選択することが重要で、選択する用紙によって、冊子の雰囲気もガラッと変わります。冊子の内容に合う用紙選定ができるよう、冊子によく使用される4種類の印刷用紙「上質紙」「コート紙」「マット紙」「書籍紙」について、その特徴や適した印刷用途解説します。
上質紙<特徴と適した印刷用途>
上質紙は、パルプ100%で構成される非塗工紙で、紙の表面に塗料やコーティングを施していないのが特徴です。そのため、手触りが滑らかで、インクの吸収が良く、光の反射を抑えるマットな質感を持っています。
特徴
- 紙の質感が自然で落ち着いた印象
- 筆記適性が高く、鉛筆やボールペンでの書き込みに適している
- カラー印刷ではやや色味が沈むが、モノクロ印刷には最適
- 環境配慮型の再生紙タイプも豊富
適した用途
- 文書系パンフレット(会社案内、報告書など)
- モノクロ資料、議事録、契約書
- 読書系出版物(文学作品、歴史書など)
- 配布用プリントや社内印刷物
コート紙<特徴と適した印刷用途>
コート紙は、表面に白色の塗料(顔料)を塗布し、ローラーで光沢加工を施した用紙です。高い平滑性と光沢を持ち、発色が良いため、鮮やかなビジュアル表現に最適です。
特徴
- 光沢感があり、色鮮やかな印刷が可能
- インクののりがよく、写真やイラストの再現力が高い
- 水や湿気にはやや弱い
- 紙の厚さにより高級感を演出可能
適した用途
- カラー印刷のチラシやフライヤー
- 商品カタログ、ポスター、リーフレット
- 写真集、画集
- 商業用広告印刷物
マット紙<特徴と適した印刷用途>
マット紙はコート紙と同様に表面に塗工処理をしていますが、光沢を抑えた落ち着いた質感が特徴です。反射が少ないため文字や画像が見やすく、上品で高級感のある印刷が可能です。
特徴
- 半光沢で反射が少なく、上品な仕上がり
- インクの定着が良く、文字もくっきり表示される
- 指紋が目立ちにくい
- カラー印刷にも対応できるバランスの取れた用紙
適した用途
- 高級パンフレット、会社案内
- ファッション誌、アート系出版物
- 商品カタログ、ブランドブック
- 表紙付きの提案書や企画書
書籍用紙<特徴と適した印刷用途>
書籍用紙(書籍用上質紙)は、文庫本や単行本などに多用される、柔らかくナチュラルな風合いを持つ紙です。黄味がかった色味が一般的で、長時間の読書でも目が疲れにくい特性があります。
特徴
- ナチュラルホワイトやクリーム系の紙色
- 軽量かつ適度な厚みがあり、冊子に適する
- インクのにじみが少なく、活字が読みやすい
- 上質と比べると用紙の透け具合を軽減
適した用途
- 文庫本、単行本、ライトノベル
- 学術書、専門書
- 教科書、副読本、参考書
- マニュアルやテキスト教材
印刷物の用途、見せたい印象、読者の読みやすさを考慮して、用紙を選ぶことが重要です。たとえば、色味重視ならコート紙、書き込みを前提とするなら上質紙、落ち着いた高級感を出したいならマット紙、長時間の読書に耐える内容なら書籍用紙がおすすめです。
まとめ
印刷用紙の選定は、最終的なプロダクトの品質に直結する重要な要素です。用途やデザインの特性に対応した紙を選ぶことで、印刷がよりプロフェッショナルに、より魅力的になります。