自分史や作品集など、これまでの人生を振り返った内容を冊子にまとめ、思い出として形に残したい。
そうお考えの方から、多くのご相談をいただいています。原稿の作成には、使い慣れたMicrosoft Wordを利用されており、Wordは冊子原稿の作成にとても便利なソフトです。しかし、Wordデータはそのままでは印刷に使用できません。
「なぜWordではダメなのか?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。その理由をわかりやすく解説していきますので、冊子作成の際にはぜひ参考にしてください。
Wordが「印刷用データ」として不向きな最大の理由
フォントが正確に反映されない
Wordで使用されているフォントは、PC環境に依存しています。当社側のパソコンに同じフォントがインストールされていない場合、自動で別のフォントに置き換えられることがあります。これにより、レイアウト崩れや意図しないデザイン変更が発生します。
レイアウトが崩れる
Wordはオフィス用途向けであり、精密なレイアウト調整には向いていません。
「自宅のパソコンで作った文書データを会社のパソコンで開いたら、レイアウトがおかしくなっていた」このような経験はありませんか?同じデータでも、作成した時と異なる環境で開くとレイアウトが崩れてしまうことがよくあります。
レイアウトが崩れてしまう原因は、Word・Excel・PowerPointを含むMicrosoft Officeソフト全てに共通した性質にあります。
それは、「異なる環境・設定で開くと、表示や印刷のされ方が変わる」というものです。
パソコンの「環境・設定」印刷に関わるのは主に次の3つです。
・OSのバージョン
・搭載しているフォント
・接続しているプリンターの種類・設定
これらについて、具体的に見ていきましょう。
OS が違うと「標準搭載フォント」が変わる
OS(Operating System)とは、パソコンを動かす基本的なシステムのことです。WindowsやMac OSが有名ですね。
同じWindowsにも「Windows8」や「Windows10」があるように、OSはバージョンアップによって細分化しています。
文字を入力する時に使う「MS明朝」「MSゴシック」などのフォントは、OSが管理しています。OSの種類によって、標準搭載しているフォントの内容は様々。そのため、OSの違うパソコン同士では、持っているフォントの数や内容が違うことになります。
搭載されていないフォントは、置き換えて表示される
Wordデータの作り手と受け手で持っているフォントに違いがあると、表示や印刷はどう行われるのでしょうか。例を使ってご説明します。
Aさんが自分のパソコンで「フォントα」を使ってWord文書を作成し、そのデータをBさんのパソコンを使って印刷するとします。
問題になるのは、Bさんのパソコンに「フォントα」が搭載されていなかった場合です。
この場合は、OSが自動で「フォントの置き換え」をします。「フォントα」の代わりに、BさんのOSに搭載されている「フォントβ」に置き換えて表示・印刷するのです。Aさんにとっては、知らないうちに文字が別のフォントに置き換わっていたことになります。
フォントが作り手の意図しないものに置き換わると、どんな問題が起こるのでしょうか。
フォントが置き換えられた時に起きる問題
・冊子全体の雰囲気が変わってしまう
・文字送りや改行の位置が変わってしまう
・文字の一部が消えてしまったり、別の文字で表示されてしまう(いわゆる「文字化け」)
フォントが置き換わってしまった例を画像で紹介します。データ作成時のパソコンでは、このような画面が表示されています。

同じデータを、OSなどの環境が違う別のパソコンで開いたところ、このようになりました。
フォントの見た目が変わり、「、」「。」「―」の配置が不自然になっています。
また、「置」という字が、少し違う文字になっているのが分かります。
自費出版で文章の多い冊子を作る時、文字の雰囲気やバランスを左右するフォントはとても重要です。句読点の位置や改行位置が変わると、ページ全体のバランスが悪くなります。文字化けすると、内容を正確に伝えることができません。
読みやすい冊子を印刷するために、フォントの置き換えは何としても避けたいところです。
大半の方が自分が使用しているパソコンの環境が標準だと認識されていますので、Wordデータを違う方へ渡す際には注意が必要です。
句読点の位置が画像のように違ったとしても、こういう作り方をされているのだな。と疑わずに進めてしまう場合があるからです。
そのような事故を防ぐためにも、完全PDF化してからお渡しすることをお勧めいたします。
接続されているプリンターの違いが、レイアウトに影響する
Word文書の文字送りや改行の位置は、接続しているプリンターにも大きく影響されます。そのため、作り手のパソコンと受け手のパソコンが別々のプリンターに接続していたり、同じプリンターでもプリンタドライバの設定が違っていたりすると、レイアウトが大幅に崩れてしまうことがあります。
意図した通りの紙面を印刷するためには「PDF変換」が必要
ここまでお話してきたように、データの作り手と受け手(印刷する人)のパソコンの環境に違いがあると、作り手の意図した通りに印刷できない可能性があります。環境がいかに大切かがお分かりいただけたかと思います。
では環境の違いを回避するためには完全に同環境にしてあげれば良い!となるのですが、作り手側と受け手側でOS・プリンター・プリンタドライバの設定・搭載フォントなどを全て同じにすることは難しく、現実的ではありません。
この問題を解決するのは、データを引き渡す前に「WordデータをPDFに変換する」方法です。
自費出版の入稿データをPDF変換する方法とは
レイアウト崩れの問題を解決するPDF変換。印刷時のトラブルを防ぐため、印刷業界ではPDFデータでの入稿が一般的です。
では、そもそもPDFとは何なのでしょうか。
PDFって、そもそも何?
PDF(Portable Document Format)は、電子文書を表示する形式のことです。PDFデータを閲覧・作成するソフトが無料でダウンロードできるため、世界中で手軽に利用されています。
PDFデータの一番の特徴は、「どんなOS環境でも作り手の意図したとおりに文書が表示されること」です。
官公庁の申請用紙やペーパークラフトの設計図など、レイアウトの正確さが求められる文書にもPDF形式は利用されています。該当ホームページからPDFファイルをダウンロードすれば、どんなパソコンでも見た目通りに表示・印刷することが可能です。
自費出版のデータ入稿にPDFが活用されている理由とは
PDFデータは、自費出版などの冊子印刷でも大いに活用されています。PDFのメリットは、レイアウトが崩れないことだけではありません。
PDFデータで入稿するメリット
・どんな環境でも作り手が意図したレイアウトが崩れにくい
・フォントの埋め込みができる
・データサイズを小さくできる
WordからPDFデータに変換する際、「使用しているフォントを埋め込む」ことができます。フォントを埋め込むと、文字の一つ一つが図形のように固定された状態でデータ化されます。そのため、違うフォントに置き換えられて文字化けが発生することがありません。またPDFに変換するとデータが軽くなるので、印刷会社へのデータ入稿が格段に楽になります。参考までに通常のメールソフトで送受信できる容量は約10MBまでとなり、それ以上のデータを送ろうとしても相手に届かない場合があります。
そうなると外部の大容量メールサービスを利用する必要があるわけですが、パソコンに疎い方は利用方法がわからず困られる方も多数いらっしゃいます。
できるだけファイルサイズは小さい方が良いので、この部分でもPDFは優れています。
WordデータをPDFに変換する方法
Wordで作成した自費出版の原稿データは、簡単にPDFデータに変換することができます。以下のリンク先でWordのバージョンごとの操作方法を画像つきで詳しく説明しています。手順に従って操作すれば完全なPDFデータに変換することができますので、ぜひお試しください。ポイントは以下の通りです。
完全PDFデータに変換するためのポイント
・PDF規格に基づいたデータにする
・画像を圧縮しすぎて荒くならないよう、「印刷用(220ppi)」を選択する
・PDFデータを作ったら、Acrobat Readerを使ってフォントが全て埋め込まれていることを確認する
・元のWordデータは、修正に備えて保存しておく
こちらのページでWordからPDFへ保存する方法を、バージョン別で掲載しておりますので、参考にしてみてください。
>>Wordデータを印刷用PDFデータへ
慣れないうちは、操作に困ることがあるかもしれません。その時は、Wordデータのまま入稿し、印刷会社でPDF変換を依頼する方法もあります。当社では有料サービスとして承っていますので、迷ったらお気軽にご相談ください。
PDFデータ入稿で思い通りの冊子を作りましょう。
自費出版の原稿をPDFデータに変換すると、作った紙面をきれいに、確実に印刷することができます。
思い通りのレイアウトで、こだわりの冊子を印刷しましょう!
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モノクロドットコムは「安く・早く・美しく」というこだわりを持ち、自費出版のサポートも積極的に行っています。
データ編集・レイアウトデザインはもちろんのこと、「原稿の作り方がわからない」「パソコンの操作がわからない」といったお客様には手書き原稿からの入力・編集・校正なども承っておりますので、お気軽にご相談下さい。
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