【実践】カラーPDFデータをモノクロに変換する方法は?
モノクロ冊子印刷用にデータを作成しましたが、データ内の写真や文字をカラーで作成してしまいました。
一括でモノクロに変換する方法を教えてください。
こちらはよくいただくご相談の一つです。画像付きで解説していこうと思います。
そもそも何故カラーデータからモノクロへ変換するのか?
カラー印刷を依頼する場合はもちろん変換する必要などありませんが、全てモノクロにて印刷を行う場合は、印刷機械に取り付ける「刷版」を出力する製版機上では、網密度などの細かな設定はできません。
また、ピンク色や黄色、水色などの淡い色で文字やグラフを作成した場合、黒に置き換わった時点で消えてしまったり、認識できないレベルまで薄くなることもあります。
それらを印刷前に防ぐ意味でも、モノクロ印刷をおこなう場合は、入稿されるデータも全てモノクロに統一することを推奨しております。
そのほかにも家庭やオフィス、コンビニなどのプリンターで費用を抑えるために全てモノクロで印刷をしたい場合や、白黒設定をプリンター上で設定しても何故かカラー印刷される場合などに役立ちます。
・AcrobatProDC Macintosh版での操作手順
Dot Gainを割り当てモノクロに変換
Dot Gain(ドットゲイン)とは?
ドットゲインとは印刷データとして作成した網点が太ってしまうという意味です。
40%の網点でデータを作成し、印刷会社へ依頼したとします。印刷会社はこの40%のデータを製版機へ出力し、印刷機に刷版を取り付け、用紙に印刷していくのですが、このいくつかの工程で本来の網点が太ってしまい、実際の印刷物では40%以上の網点となって仕上がってきます。
インキが用紙に転写された時に、用紙の繊維にもインキは浸透します。極端な例を挙げますと、用紙に水を一滴こぼした時、用紙の上で水滴は維持せず、広がり吸い込まれていきますが、インキを使用した印刷にも言える現象です。
それだけが理由ではなく、印刷機では印刷をおこなう際に、用紙にインキが綺麗に転写されるよう圧力をかけています。この圧力が理由でインキが伸びてしまい、結果、印刷面は若干広がり本来の網点よりも太ってしまうわけですね。
左図のように本来の網点よりも濃く印刷されてしまう現象です。
印刷会社のカラーマネジメント設定などによっても、ドットゲインの設定は変わりますが、モノクロ印刷の場合は事前に網点が太くなる事を想定し、ドットゲイン処理を施しモノクロに置き換える事で、実際の仕上がりがイメージに近いものとなるわけです。
カラー印刷は「印刷の4原色」が重なることで再現しています。「CMYK」にて形成されており、C=シアン、M=マゼンダ、Y=イエロー、K=ブラックとなります。色を置換えたいデータが「CMYK」にて作成されている場合は「Dot Gain」を選択し、黒に置き換えると良いとされています。
一方、Wordで作成されたデータは「RGB」光の3原色である「R=レッド、G=グリーン、B=ブルー」を使用します。
こちらのRGBで作成されたデータをモノクロに置き換える時は「Dot Gain」を選択せず「Gray Gamma」を選択して変換してください。
RGBデータをDot Gainを割り当てモノクロに置き換えると、全体に濃度が高く変換されてしまうことが多く、シャドウ部分が潰れてしまい、暗く汚い画像となってしまう可能性があるためです。
Dot Gain15%・Dot Gain20%の違いは?
モノクロ変換する際に割り当てるドットゲインですが、数値が大きいほど淡い仕上がりになります。
元の画像が極端に暗い場合は、Photoshopなどを使用して明度を調整することもありますが、少し暗いかな?と思う画像にはドットゲイン20%を割り当ててみましょう。